ジュニアテニス大会の仕組み

ITFジュニアと国内ジュニア

世界ツアー国内
プログランドスラム、ATPツアー、WTAツアーなど全日本テニス選手権など
(この領域のみで活動するプロ選手はいない)
13-18歳 ITFジュニア 国内ジュニア
(全日本テニス選手権,インターハイなど)
-13歳 世代別国際大会(U12,U10)

まずテニスのジュニア大会には、ITFジュニアと国内ジュニアの大きく分けて二種類の大会が存在します。
ITFジュニアは、ITF(国際テニス連盟)が主催(認可)する大会で、世界各国で毎週数大会が開催されています。参加する世界中のジュニアプレイヤーは、13歳を超えれば18歳までが同じカテゴリーでしのぎを削ります。男女それぞれ世界で数千人、日本人は100名近くの選手がITFジュニアの大会に参加しています。
国内ジュニアは、その名の通り日本人のみが参加する国内大会で、全日本ジュニア選手権、インターハイ、全中などが該当します。一般に小学生から高校生までのスポーツの大会といえばこちらをイメージすることが多いかと思います。

他のスポーツでも、ジュニア選手が海外のジュニアの世界大会に出ることは珍しくはありませんが、テニスの場合はその人数が多いです。協会とか関係なく、テニスクラブや遠征チーム単位でどんどん海外の大会に参加していきます。

ジュニアのその先、プロツアーを見据えれば世界の中での立ち位置が重要となってきます。
プロテニス選手は、毎週世界各地を連戦としてグランドスラムを頂点とするツアーを日々戦っています。そこでは、自国での立ち位置などほぼ意味を持たないといっていいでしょう。

もちろん全てのジュニア選手が世界(プロのグランドスラム)を目標にしているわけではありません。課外活動としてテニスをしている選手にとっては海外で開催されるITFの大会は無関係なもので、全日本ジュニア選手権や高校生ならインターハイが目標となります。

プロジュニア
頂点 グランドスラム グランドスラムジュニア
国内最高峰 楽天オープン
東レオープン
世界スーパージュニア
国内大会 各種チャレンジャー,ITF下部ツアー大会 ITF埼玉,ITF兵庫など
日本人のみ 全日本テニス選手権 全日本ジュニア選手権

プロとジュニアの大会を比較してみるとこのようになります。

グランドスラム(4大大会)では、同じ会場でジュニアの大会も開催されています。ITFジュニアでもグランドスラムは特別な場になります。
ITFジュニアとプロテニスとのシステムは似ており、各大会の成績でもらえるポイントを合計して世界ランキングが発表されます。大会はジュニアの場合はグレードAからグレード5までランクが分かれており、貰えるポイントは優勝でも大きな差があります。出場できる大会も世界ランキングによって決まります。

国内プロテニスの最高峰の大会は、言わずと知れた楽天オープン(男子)、東レオープン(女子)です。この2つの大会にあたるジュニアの大会は、10月に大阪で開催される世界スーパージュニアになります。世界各国からトップジュニア選手が数多く参加する大会になっています。
数はそこまで多くはないですが、ITFジュニアの大会は兵庫や埼玉など数大会が開催され、国内でITFポイントが獲得できる貴重な機会となっています。

国内主要大会

世代別 学校別
18歳以下 全日本ジュニア(18歳以下) 高校 インターハイ
16歳以下 全日本ジュニア(16歳以下)
MUFGジュニア
15歳以下 U15全国選抜 中学 全中
14歳以下 全日本ジュニア(14歳以下)
全国選抜(14歳以下)
13歳以下 RSK全国選抜
12歳以下 全日本ジュニア(12歳以下)
全国選抜(12歳以下)
小学校 全小

ここでは国内ジュニアの主要大会の紹介をします。

学年や学校という区切りで、世代別の大会が行われる事が多い日本の学生スポーツ界ではありますが、テニスでは生まれた年に応じて区切られる大会が多いです。

国内で一番大きな大会は、毎年夏に大阪の靭公園と江坂テニスセンター(低学年の一部)で開催される全日本ジュニア。18歳から12歳まで2歳区切りで4つのカテゴリーで日本一が決まる大会になっています。多くのジュニア選手にとっては、県大会、地区大会を勝ち抜いて目指す憧れの大会となっています。

学校単位では、高校生はインターハイ、中学校は全中、小学生は全小が大きな大会になります。インターハイは団体戦があり、部活で苦楽を共にしてきた仲間と共に戦うのは、特別なものです。
全国選抜ジュニアなど、12〜16歳以下の各年代の大会も開催されています。

拠点を海外へ移す、ITFジュニアを連戦、高校生からプロの下部ツアーを回り始めるなどで、国内の大会に対するモチベーションは様々であります。同世代が皆目標として、一同に揃うような大会は年齢を重ねる事に減っていきます。
(テニスは野球で言うところの甲子園みたいな大会はありません。)

世代と学年

2010年生まれ 1月〜3月 4月〜12月
全国選抜ジュニア(U12)
全日本ジュニア(U12)
12歳
全小(全国小学生テニス選手権) 中1 小6

ジュニアテニスにおける世代別の全国規模の最初の大会は、5月に開催される全国選抜ジュニア(12歳以下)。それに続いて、7月末に全国小学生テニス選手権(全小)、8月に全日本ジュニア(12歳以下)と3つの大会が開催されます。これら三つを制した選手は小学生三冠となります。かつて錦織圭が小学生三冠を達成しています。
しかしながら早生まれの選手が選抜ジュニアを取ると、本年度の三冠の可能性はなくなります

というのも、年代と学校で出場できる大会の違いがここで現れます。2022年を例に挙げると、2010年生まれの選手は、選抜ジュニアと全日本ジュニアに12歳以下のメインの年代になりますが、3月より前に生まれた、早生まれの選手は中1であるので全小には今年は参加することはできません。
同様の事は、全中と全日本ジュニアの16歳以下と14歳以下などでも起きます。
学年と生まれ年でライバルが違っていくのが早い年代のジュニアテニスの一つの特徴ともいえます。

国際ジュニア大会

ITFジュニアツアー(13歳より) 主な大会
グレードA 全豪ジュニア、全仏ジュニア、ウインブルドンジュニア、全米ジュニア
世界スーパージュニア(大阪)、オレンジボウル(アメリカ)など
グレード1/B1
グレード2/B2 ジャパンオープン(名古屋)
グレード3/B3 埼玉
グレード4 兵庫
グレード5 複数

今現在、国内のトップ選手の多くは頻度の差はあれITFジュニアを回っています。

アジアやオセアニア地域といった地理的に近い場所のグレードの低い大会からスタートし、結果で出れば上のレベルの大会に出場していきます。目指す場所はグランドスラムジュニアですが、そこに辿り着くジュニア選手は数えるほどです。

ITFジュニアでの目指す場所、遠征費用の問題、学校の兼ね合いなどで年間試合数は人それぞれですが、ITFジュニアに主軸がある選手は年間30近い大会に出場する選手もいます。

国内で開催されるITFジュニアは10大会。ITFジュニアと言えども、国内で開催される下のグレードの大会は大半が日本人ですが、上の2つは違います。10月中旬から二週連続で開催される世界スーパージュニア(大阪)とジャパンオープンジュニア(名古屋)には多くの選手が来日します。
過去には、キリオス・フリッツ・ルードといった選手が優勝し、今現在プロツアーで活躍しています。

ITFジュニアもプロツアーと同様に上のグレードの大会ではホスピタリティが義務付けられています。国内だと埼玉より上の大会では本戦に勝ち残っている間の宿泊費や食事は大会側の提供となります。

ジュニアランキングは、シングルスとダブルスの区別はなく、両方のポイントを加算したものが個人のポイントとなります。シングルスとダブルスは1:1での加算はなくて、シングルスのポイントの比重がかなり大きいです。

ジュニアとプロ

ITFジュニア ATP/WTA(ITF下部)
19歳-
18歳
17歳-14歳 大会数制限あり
13歳

テニスはプロ試験があるスポーツではありません。極論言えば、書類を提出すればプロになれるような世界ですが、プロになった所で、賞金で生活できるのは限られた上位選手だけです。下部大会には、それこそ中学生も出ているので、アマとプロに差などありません。

世界中のジュニアのトップ選手は、ITFジュニアを回りつつも、一定の実力がついたところで大人のITF下部ツアーも並行して出場していきます。
あくまでジュニアは通過点に過ぎませんので、成績が出ているのにいつまでもジュニアの大会を出続けている選手はいません。結果が出た、もしくはプロでやっていけそうな選手から出場大会数を減らしたり、卒業していきます。そのため、グランドスラムジュニアを連覇したとか年に数勝したという選手は殆どいません。
また、ITFジュニアにはほぼ参加せずに、直接15や16からITF下部ツアーを回る選手もいます。

ジュニアはあくまで通過点です。

Junior Tennis Databaseはテニスの国内・ITFジュニアの主要大会の結果をまとめたサイトです。
登録大会数3683、登録選手数2,376、登録結果数146,759